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本や漫画やゲームやら、そんなものが好きな人のブログ。たまに二次創作も。
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この物語は繋がっているようで繋がってないような、そんなシリーズになって居ります。
主人公はふたごの兄弟、名前は、リュカとクラウス。
悪童日記の最後でクラウスは外の世界へ、そして残されたリュカはおばあちゃんの家に、とどまる。
様に描かれている、が。第三の嘘でクラウスの目線に移ったように書かれるのだけれど、実は彼はクラウスではなくリュカだ、と、言いだす。
それどころか悪童日記の設定を全て否定するような内容を語り出す。
三冊が三冊とも、おなじ人物を描き、おなじ街を舞台にしているのにも関わらず、それらの作品の雰囲気はそれぞれ異なっている。
しかし、そこに流れる憂鬱さは変わらない。
この物語は戦争と、死と、残酷さによって構成されている。
一番その色合いが濃かったのは第一部、悪童日記。
戦争によって、貧しく厳しい暮らしを強いられ、隣には余りにも哀れな少女兎っ娘が住み、強制収容所に送られる人々さえも登場する。
彼等が日記に書いている、という設定の為、これらはとても理路整然とした、突き放したような文章で描かれているため、まるで窓の外から眺めているような感覚を覚えるけれども、その文章のおかげかすらすらと読み進める事が出来る。
打って変わって第二部、ふたりの証拠はリュカを主人公とした三人称で描かれる。
極めて感傷的で、情熱的でもあり、とてもリュカ、という人物が哀れに感じて、最後のマティアスのシーンでは思わず涙してしまった。
そして第三部、たぶん、このシリーズの中ではまだ、残酷さや凄惨さはそれほど感じない物語だと思う。
ただ、ぐぐもった、しこりの様な絶望が横たわっている。
この物語を読んでる時、ふたりの証明で語られた言葉のいくつかが、頭の中で反芻される心もちがする。特に、
「でも、あなたは今しがたおっしゃいましたね。“苦しみは減少し、記憶は薄れる”って」
「そう、確かに私は、減少する、薄れると言った。しかし、消え失せるとは言わなかったよ。」
 
この物語はアゴタ・クリストフの心の物語なのだと思う。
彼女自身の、痛み、悲しみ、苦しみ、郷愁、兄への愛情。
そしてそれらはきっと、A・クリストフが死ぬまで、抱えていかなければならないものなのだろう。
最後に何か物足りなさを感じるのは、まだ。彼等の物語は終わらないからなのだと思う。
たとえ本当に彼等の片割れがもう死んでいたのだとしても。
その片割れが本当は、存在しないのだとしても。
 
他のA・クリストフの作品も、是非、読んでみたいですね。
 
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夢見てるような幻想文学集。
田舎の老人の炉端語りが好きだったというノディエ。
作品もそれらを思わせるような雰囲気がたっぷりですが、やっぱりノディエは都会の文化人なのかどこか洗練された感じがします。
美しくて整ってて、民話にみられるような生臭さが余りない。
ロマンチックで読みやすいと思うのは私だけ?
アンデルセンとか好きな人は凄く好みだと思う。

私が特にお気に入りなのは『青靴下のジャン・フランソワ』。
とある狂人について書いたこの作品は幻想文学らしくない作品なんですが。
ジャン・フランソワの不思議な魅力と、彼の身に起こった(というより彼によって想定された)出来事が。
なんだか素晴らしく美しいと思うのですよ。

少なくとも、『夜の一時の幻』と『ベアトリック尼伝説は』その端麗差を楽しみたいのなら是非一読を。
『スマラ(夜の精)』は夢について考えさせられる作品。
『トリルビー』『死人の谷』も面白かったです。
あとあとがきも必読。ノディエってご本人も面白い!
あ、因みに岩波文庫で読みました。
最後にそのあとがきから印象的な語句を控えておきます。

“狂人の物語を信じさせるには、より幸せでない狂人に語らせる必要がある”

ゴスを扱う記事に、よくこの作品はとてつもなくゴスだというの目にしてましたので、結構前々から興味はあったのですが。
確かにゴスだったのですが、なんというか。
作品に込められた訳の分からない力強さに、多少圧倒されてしまいまして。
その部分も含めて、嗚呼、ゴスだなあと思うのですが。
 
何と言っていいか分からないのです。
 
舞台は嵐が丘のお屋敷と、鶫の辻のお屋敷とその周辺という、小さな世界で繰り広げられます。
語り手は明朗な老女中、聞き手は余所からやってきた、少しばかり人付き合いに疲れてしまった繊細な若者。
この構図には『ケルトの妖精物語』が思い出されました。
 
語り手ネリーの視点から見るこの物語は、ネリー自身の性格からくるものなのか、狂おしいまでの愛憎劇も、凄まじいく悲壮な展開も、妙に乾いた印象を与えられます。
私が思うに、ネリーと言う人は上手い諦めどきを心得ている人物で、確固たる自分を持ちながら状況を冷静に見つめ、しかし自らの力の及ばない事柄に関しては無理に手を出さない分別を持っており、尚且つ鋭く強靭な女性でした。
このネリーという語り部は本当に素晴らしいと思います。
これが、ヒースクリフやキャサリンであったなら、随分と違う雰囲気の作品となっていたことでしょう。
そして、彼女の話を聞くロックウッドという存在。
彼によってこの作品の神秘的な魅力が益々強まっている様に思います。
 
何かの記事で、この嵐が丘というのはE・ブロンテが紡ぎ出した素晴らしき神話であるという様な文章を読んだのですが。
確かに、この話には民間伝承や神話を思わせる雰囲気があります。
私が妖精物語を思い出されたのは、前述の記事の事もあったでしょうが、やはりロックウッドの存在が大きいと思うのです。
彼はこの小さな世界の唯一のよそ者で、物語の主人公達とはだいぶ距離があります。
語り手ネリーとも、お話の最中に仲良くなったといっても、やはり、ロックウッドはよそ者でしかないのです。
本当だったら彼等の世界でささやかな終焉を迎えるのみであったろうこの物語は、ロックウッドという人物を通して私たちの脳裏に運ばれることになる。
そして最後に彼がムーアに眠る魂たちに思いはせる時、私たちもまたこの神話の終りを悼むような気持ちにさせられるのです。
 
その瞬間の不思議な寂しさは、まるで朽ち果てた遺跡を眺めているようで。
非常に良かったです。
 
 
メアリー・シュリー 山本政喜・訳
 
 
読み終わってまず、どうしてシュリーはフランケンシュタインを書いたのか、疑問に思った。
映画のイメージが強くて、どうにも、恋愛ものっぽい感じがしてたのだけど。
実際はそうでもなく、哲学的で、幻想的で、非常に悲しい話だった。
私はこの小説を読む前からなんとなくフランケンシュタインの化物が好きだった。
この広い世界でたったひとりの化物が可哀そうで、なんだか愛おしい存在の様に思えたからだ。
実際、小説を読んでその想いは強まったのだけど、更に、この化物は化物なのだけど人間以上に生きる事を愛しており、考える時も感じる時もとても几帳面で真面目で、賢くて。
やっぱり可哀そうだった。
 
それでもフランケンシュタインを憎めないのが不思議だ。
彼は決して母の死を受け入れられなかった訳では無かったと思う。
彼は母の死からひとつの想い…、なんて、高尚なものでなくひとつの好奇心から化物を創造したように読んでて感じた。
彼は、始めっから自分で造り出したものを愛そうとはしなかった。
私は、女性であるシュリーがどうしてこんな人格の男を主人公に持ってきたのかよく分からなかったけのだけれど。
フランケンシュタインを、愚かだと思いながらも嫌いにはなれない。
変な感じがした。
 
時々、神さま…、私たちを創った神様は自分たちを愛しているだろうかと考える。
化物は愛されなかった。
そして、彼の気持ちをフランケンシュタインは理解することが出来なかった。
シュリーはどうしてこの話を描いたのだろう。
そして、どうしてこの物語に出て来る男の人達、フランケンシュタイン、姉に手紙を送る弟、化物、を愛おしく感じるんだろう。
たぶん、色々な解釈の仕方があるのだろうけど。
自分は余り良く分からない事が多いです。
まだまだですね。
 


『夏の夜の夢』
始め物凄く好きだったのにラストがちょっと物足りなかった…。
劇の中で劇をやるって、面白い演出だと思いますが。
ヘレナのその後が気になります。
ちゃんと幸せになれたのだろうか…。
 
結構ちゃっかり者な妖精王も良いですが。
パック萌え!!パック超かわいい~v
動画でダンス観たらもっと惚れた!
メンデルゾーンは何度聴いても良いですよね。
 
恋愛パニックもの、ということで、ぐるぐる人間関係が変化していく様はまるでメリーゴーランド?
可笑しくもロマンチックでした。
何となく、漫画で読んだら更に面白そうだと思います。
 
*****************
 
『あらし』
展開のバランスが凄くいい。
途中でストーリーも破綻することなく、完璧にひとつの物語として完結しているのも良い!
そして何よりプロスペローがカッコイイvv
政治そっちのけで魔術の勉強とか、若干、追放されても仕方ないのじゃない?と思わせる所もあるのですが。
いかにも学者肌っぽい話し方とか、いちいちツボ、渋い。
 
そしてプロスペローの使役する妖精、エーリアルの優雅さと、怪物キャリバンの道化っぷりも素晴らしい。
魔法の世界が大好きな私は大満足です。
 
幻想的な雰囲気と、殺伐とした王権争い、そして恋人たちのロマンスと。
沢山詰ったこの作品。
ラストもやってくれますよ、この小父さま。
シェイクスピアに興味がなくても、ファンタジー好きなら必読の一品です。

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