http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2011/matsuifuyuko/
前々から気になっていた、松井冬子の展覧会へ行ってきました。
会場は老客男女、それこそ、お年寄りや小さなお子様連れ、カップルももちろん。外人さんの姿もちらほら。
松井冬子がどれだけ人気なのか、とてもよく分かりました。
憂鬱な色彩、死の静寂さと、繊細に描かれた臓物。
どちらかと言うとアングラ的なこれらの要素を持ってこれだけの人々の心を引き付けるなんて、凄いですよね。
彼女の作品がグロテスクさを余り感じさせないのは、暴力的な自己意識を感じないからかなと思いました。
彼女の作品は、「よかったら、見て行って下さいな」とでもいうような、不思議と奥ゆかしい感じを受けるのです。
松井冬子の作品は、自分の中の感情と、女性性を見つめたものがとても多いと思います。
そしてその表現の仕方は、まるで、自分自身を観察するもうひとりの自分から見た、自分を表現しているような。そんな、自分というモチーフから一歩遠ざかった所に視点を置いているような。
そんな作品の描き方をしているように感じるのです。
今回の展覧会には彼女の製作まで行った試作やスケッチ、ラフなども展示されて居り、彼女の作品づくりに迫る展示物も多数、ありました。
彼女は作品を描く前にとてもとても念密に、スケッチをし、構想を練っているようです。
衝動や感情と言う物はとてもせつな的な物だと思いますが、それを、とことん解剖し、作品として展示する、彼女の姿勢はまるで生物学者の標本作りの様です。
もしかしたら、彼女の作品ひとつひとつは、彼女自身の標本たちなのかもしれません。
他にも色々、話しておきたい事が沢山ありますが。
今回はひとまず、ここまでにしておきます。
蛇足:今回の私のお気に入りは『供犠の暴力』。
始めてみた作品の中で一番好きです。
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